新車バスの価格はどのくらい?高いと感じるときの対策も紹介

新車バスの価格は高騰しており、大型バスで3,000万円~1億円ほどかかります。そのため、中小企業では新車バスの購入が難しい場合も少なくないでしょう。しかし、バス車両の更新を行わなければ車両の老朽化が進み、運行に支障が出てしまう可能性があります。
新車バスを購入するのが難しい場合、リースの活用や中古バスの購入も選択肢の一つです。
今回は新車バスの価格相場、新車バスを購入するときの注意点、新車購入以外の選択肢を紹介します。
新車バスの価格相場はどのくらい?
新車バスの価格相場は、次の表のとおりです。
新車バスの種類 | 購入価格(税込) |
大型観光バス(定員数41~60名) | 3,000万円~1億円超 |
中型観光バス(定員数27~40名) | 1,200万円~2,200万円 |
小型マイクロバス(定員数22~29名) | 400万円~800万円 |
大型路線バス(定員数~89名、座席数30名) | 2,000万円~3,500万円 |
新車バスは車内の快適性や安全性、燃費性能が高く、購入後のメンテナンス代や修繕費用が安い傾向にあります。反面、非常に高額であることはデメリットです。
バス業界では、排ガス規制の強化や安全性が重要視されるようになりました。そのため、自動ブレーキを含む各種装備の開発や生産に時間とコストがかかるようになったことから、バスの購入価格は高騰しています。
また、路線バスではバリアフリー化やユニバーサルデザイン(ノンステップバスへの変更、車椅子スペースの設置など)の推進によって、価格は高騰傾向です。
新車バスはバスの発注者によって設備・機能・内装などの仕様が異なっているため、価格に大きな幅があります。そのほか、大口注文の場合や、販売会社との長期取引による割引の影響などでも価格に差が生まれます。
新車バスを購入する際は複数の販売会社から見積もりを取り、価格を比較すると良いでしょう。
新車バスを購入するときの注意点

新車バス購入時には、新車ならではの注意点があります。以下の2点に注意して購入を検討しましょう。
オプションを付けると高くなる
新車バスは、オプションを付ければ付けるほど価格が高くなる点に注意しましょう。
大型バスの場合、購入するときに基本的なバスのタイプを選んだあと、さまざまなオプションの付加が可能です。オプションを付ければ快適な車内空間が作れますが、オプションを追加すればするほど、価格は上昇します。オプションを付け過ぎると予算がオーバーして希望するものが取り入れられず、設備に妥協しなければならないこともあるため注意が必要です。
オプションには例えば、トイレ・電源(コンセントやUSB)・空気清浄機・AED(自動体外式除細動器)などの設備が挙げられます。ほかにも、座席を高級感のある革張りにする、座席を仕切るカーテンを設置するなど、内装のグレードアップや快適性の向上も価格変動の大きな要因です。
オプションを付ける際には、バスの使用目的や利用する乗客の性別・年齢などを考え、導入するオプションに優先順位を付けると良いでしょう。
納車に数カ月~1年以上の時間がかかることがある
新車バスは注文してから納車までに、数カ月~1年以上の時間がかかることを考慮しておきましょう。長い場合には2年以上かかるケースもあります。
バスは注文住宅の建築のように、一つとして同じものがありません。発注者の要望に応じて、バスに搭載する設備・機能・内装がそれぞれ異なる、オーダーメイド生産です。注文を受けてから生産に取りかかるため、完成までに時間がかかります。車両が欲しいときにすぐに手に入るわけではないため、注意が必要です。
また、製造部品の供給不足、社会情勢の変化による流通障害などが納車を遅らせることもあります。例えば、コロナ禍で半導体が不足して、乗用車の納車に遅れが生じた件が挙げられます。製造ラインがストップしたことで、部品の需要に対する供給が間に合わなくなったためです。ほかにも、戦争・内乱などの社会情勢の変化による流通の乱れも、納期に影響を及ぼします。
新車バスは、欲しいときにすぐに手に入るものではありません。購入の際には注文から納車までに数カ月~1年以上の時間がかかることを考慮しておき、長い目で見た導入計画を立てましょう。
新車バス購入以外の選択肢は?

新車バス購入以外の選択肢には、リースを活用する、中古バスを購入するなどの方法があります。
リースを検討する
新車バスの価格が高く購入が難しい場合は、リースを検討してみましょう。リースは、車両を長期間利用する予定がある場合や、新車を使用したいときに向いています。
リースとは、リース会社とユーザーが契約を結び、リース会社が所有するバスをユーザーに貸し出すサービスです。ユーザーは3年、5年、7年などの長期間で契約し、月々リース料を支払ってバスを借り受けます。契約終了後は車両を返還しますが、再びリース契約を結ぶことや、車両の買い取りも可能です。
リースは新車バスを使用できることがメリットです。
新車のため老朽化による車両の故障リスクが低く、修繕費用の支出が少なくて済みます。常に新車を使えるため、企業イメージの向上も期待できるでしょう。
ほかにも、リースは月々の支払いが定額のため、コストの見通しを立てやすいメリットがあります。
デメリットは、原則、途中解約ができない点です。どうしても途中解約をする場合は違約金が発生するため、自社にとって大きな支出となってしまいます。
従って、リースを利用する際は長期間にわたって利用するかどうか、慎重に検討する必要があるでしょう。
中古バスの購入を検討する
新車バスの価格が高く購入が難しい場合、中古バスの購入を検討してみるのもおすすめです。搭載された設備や車両の年式によって異なりますが、中古バスは新車バスと比べて10分の1から2分の1の価格で購入できます。車両代の削減で浮いた経費をドライバー確保のための人件費や、サービス内容の変更などに利用できるでしょう。
例えば、中古の大型バスは約400万円~500万円、大型の路線バスは約300~500万円で販売されているものもあります。中古バスの中には走行距離が少ない車両や、腐食が少なく状態が良い車両などが市場に出回っている場合があります。優れた中古車両をお得な価格で購入できる可能性があるため、新車バスの導入が難しい場合は、中古バスの購入を検討してみましょう。
また、中古バスはすでに設備が整っているため、新車に比べると早く納品してもらえるメリットもあります。車体の整備や外装塗装などの時間はかかりますが、車両を早く導入して運行を開始したい場合は、中古バスの購入が向いています。
なお、中古バスを購入するときには値段の確認だけではなく、車体の状態確認もしっかりと行いましょう。中古バスは当たり外れが多いため、見た目がきれいに見えても内部で腐食が進んでいる恐れがあります。車体の状態を確認せずに購入した場合、引き渡し後に故障や不良が発覚し、高額なメンテナンス代や修繕費用が発生するケースがあるため、注意が必要です。
購入したいバスをある程度絞り込んだら、バスの外装・フロントガラスにヘコミや傷がないか、車両下側や足回りに腐食がないかすみずみまで確認しましょう。車両内部のエンジンに腐食やオイル漏れがないかも確認します。エンジンをかけてみて、エアコンの効きも確認した方が良いでしょう。
購入を希望するバスが、これまでにどのような地域を走っていたのかを確認することも必要です。塩害地域や温泉地域、雪国の走行歴がある場合は、融雪剤の塩分や硫黄の影響で、目に見えない場所の腐食が進んでいる可能性もあります。販売会社に、購入希望のバスの走行歴を聞いてみると良いでしょう。
自社に合ったバス導入方法で車両の更新を図ろう
新車バスは注文を受けてから発注者の要望に応じて製造する一点物であり、コストや製造時間がかかるため、購入をためらってしまうこともあるでしょう。
新車バスの購入が難しい場合、リースの活用や中古バスの購入がおすすめです。月々の料金を支払うことで新車が活用可能であったり、手頃な価格で良質な中古バスが見つかる可能性があったりと、さまざまなメリットがあるため、ぜひ検討してみてください。