事例からみるバスの火災事故を確実に防ぐ対策法

事例からみるバスの火災事故を確実に防ぐ対策法

平成19年~22年の間にバスの火災事故が61件発生しています。一度バス火災が発生すると多数の乗客が命の危険に晒されることになるので、バスの安全対策・火災事故対策は早急に行うべきです。

今回の記事では、バス火災の主な出火元、出火に至った経緯、火災が起きた原因について解説し、そこから導かれるバス火災を確実に防ぐ3つの対策法をご紹介します。

バスの火災事故における主な出火元

国土交通省が作成した資料「バス火災事故の状況について」では、平成19年1月~22年12月に起きたバス火災の主な出火元は、「エンジン付近」「ブレーキ、タイヤ付近」「換気管付近」であると報告しています。[注1]

これらの3つの出火元のうち、エンジン付近での火災が最も多く、その数は31件でした。次いで、ブレーキ、タイヤ付近での出火が10件、換気管付近での出火が3件、その他の出火元が17件となっています。

バス火災を防ぐには、エンジン付近をしっかり整備・点検することが重要です。

[注1]国土交通省:バス火災事故の状況について~事業用バスの火災事故61件の分析~

出火に至った経緯

さきほどご紹介した国土交通省の資料では、バス火災で出火に至った経緯についても調査しています。この調査によると、電気系統のショート、ブレーキ・タイヤの過熱、燃料漏れ、エンジンオイル漏れ、排気管からの排気漏れ、DPFの加熱などにより出火に至ったとされています。

最も多い出火経緯は、電気系統のショートによるもので、全体の27%、約4分の1を占めています。平成15~18年のデータと、平成19~22年のデータを比較すると、どちらも電気系統のショートによる出火が出火経緯の第1位となっています。

一方、出火経緯の第2位、第3位は、平成15年~18年のデータと平成19~22年のデータで違いが見られます。

平成15年~18年のデータでは、燃料漏れが全体の15%を占め、2番目に多い出火経緯と報告しています。次いで、ブレーキ・タイヤの過熱が全体の14%で第3位となっています。

対して、平成19~22年のデータでは、ブレーキ・タイヤの過熱が全体の15%を占め、出火経緯で第2位となっています。そして、第3位は全体の11%を占めるエンジンオイル漏れとなっており、順位が変わっています。

平成15~22年のデータで第2位であった燃料漏れは、平成19~22%のデータでは5%にまで減少しています。このように、燃料漏れによる出火が減少した理由として、エンジン周りの整備・点検が強化された、バス自体が燃料漏れを起こしにくいように改良された、などが考えられます。

火災が起こった主な原因

ドラムブレーキ

バスで起こった火災事故の主な原因として、点検整備が不十分であった、整備作業のミス、ウエスなどが着火、サイドブレーキ戻し、設計・製作における不具合といったものが挙げられます。

これらの中で最も多い原因は、点検整備が不十分であったというもので、平成19~22年のデータでは、15件、全体の約4分の1を占めています。次いで、整備作業のミスが原因である火災が全体の16%を占めており、この2つがバス火災の原因の約4割を占めています。

使用年数の長さも火災の原因となる

バスの使用年数の長さが、バス火災の間接的な原因になっていることも分かっています。実際に、使用年数が16年未満のバスでは、ブレーキの引きずりによる火災は報告されていませんが、使用年数が16年以上になると、ブレーキの引きずりによる火災が数件発生しています。

点検整備不十分による火災の具体例

点検整備不十分によるバス火災では、長期間点検作業を怠っていたこと、定期的に交換すべき部品が適切に交換されていなかったことが、火災の原因となっているケースが多いです。

実際にあった点検不足の例では、スプリングシリンダーの中にあるO‐リングの変形やシリンダーのグリス不足に気付かず、シリンダーのエアーが漏れてブレーキの引きずりを起こして火災にまで発展しています。

また、メインハーネスの腐食に気付かず、このハーネスが切断、ショートして燃料ホースに引火した事例も確認されています。

整備作業のミスによる火災の具体例

整備作業のミスにより起こった火災では、部品の取り付けが甘い、または部品を間違えて取り付けたことにより火災が発生するケースが多いです。

実際にあった整備作業ミスの例では、バッテリーの設置で上手く固定されておらず、バッテリーの端子がボディと接触して火災に発展しています。

バス火災の被害を防ぐ3つの対策法

エンジンルーム

ここでは、バス火災を防ぐ具体的な対策法についてご紹介します。具体的には、以下の3つの対策法について解説していきます。

1.定期的に点検作業を行う

バス火災で最も多い原因は、点検・整備作業の不十分によるもので、全体の3割を占めます。よって、毎日の点検作業をしっかり行うことで、火災のリスクをぐっと減らすことができます。

火災に至る経緯は、電気系統のショート、ブレーキ・タイヤの過熱が全体の約4割を占めているため、電気系統とブレーキに関しては特に重点的に点検すべきでしょう。

国土交通省が、火災に至る経緯のトップである電気系統のショートの発生部位を調査したところ、最も火災が多い部位は配線、コネクタ、ジャンクションブロックなどの配線などであったと報告しています。火災が多い部位第1位の配線などは、第2位のマグネットコイル、リレー、スタータなどの部品類を大きく引き離しています。

この結果から、点検作業では、電気系統の配線に特に気を配るべきだと考えられます。

2.整備作業ミスを減らす

バス火災の原因で点検不十分に次いで多いのが、整備作業ミスです。整備作業ミスによる火災は、全体の16%を占めています。人的ミスは確認作業を強化するなどにより防げるものなので、事業所内で整備ミスを防ぐ取り組みを導入しましょう。

バス火災に至る経緯で最も多いのは、電気系統のショートであったので、電気系統の整備ミスを減らすことで、火災のリスクを効果的に抑えることができます。

点検作業の部分でも解説したように、電気系統のショートは、コネクタやジャンクションブロックなどの配線類や、マグネットコイル、リレーなどの部品で起こっているので、これらの部位の整備では、ミスが起きないよう何度もチェックするような体制を整えるとよいでしょう。

3.避難訓練で防災意識を高める

定期的に避難訓練を行うことで、従業員の防災意識を高めることができ、火災を減らすことに繋がります。また、実際に火災が起きたときに冷静に対処できるようになり、乗客の命を守ることにも繋がります。

点検作業や整備ミスを減らす取り組みを行うことで、バス火災を未然に防ぐことは可能ですが、やはり火災を完璧に防ぐことは難しいです。どんなに対策を施していても、避けられない火災もあります。

そのため、事業所は、火災が起こったときに備えて、バスのドライバーに緊急事態にどのように対処すべきか、乗客をどのように避難させるべきかを日頃から教育しておくべきでしょう。

安全対策・火災対策に早急に取り組もう

バス火災が起こる原因と、火災を未然に防ぐための対策についてご紹介しました。バス火災に至る経緯は、電気系統のショート、もしくはブレーキ・タイヤの過熱が大きな割合を占めています。出火原因は点検・整備の不十分、整備作業ミスの2つが主なもので、いずれも点検・整備作業をしっかり行えば防げます。

点検強化と整備ミスを減らす取り組みは、今からでもすぐに行えるはずです。バスは乗客の命を預かる乗り物なので、早急に安全対策・火災事故対策に取り組みましょう。

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